物件を売買する状態ではない
「住みたい街」が一変、人気を落とした理由は、ライフラインの確保に時間がかかったためだ。同じ湾岸エリアでも豊洲や有明、東雲周辺は復旧が比較的早かったが、浦安周辺は取り残された。
それが影響して、ここ数年人気が高まっている分譲マンションも「いまはマーケットがフリーズした状態。物件を売買する状態になく、新築物件はすべて止まってしまっています」(不動産調査の東京カンテイ市場調査部の上席研究員・中山登志朗氏)と話し、今後の販売の見通しは不透明という。
一部の賃貸マンションでは建物にヒビが入るなどの損傷やライフラインが止まったことで、企業の寮や社宅に住んでいる人などが内陸部に引っ越す動きがある。
浦安市は「人口の流入をみる限りでは動きはありませんが、(避難などで市から出て行った人については)把握しきれていないところはあります」と話す。地元の不動産業者によると、「引っ越したい」という声もあるそうだ。
前出の中山氏は「浦安人気に陰りがでるのは仕方のないところ。ただ、今後デベロッパーはライフラインの確保など、いざという時の災害対応力に力を入れていくことになるので、浦安の凋落が長期化するとは思えません」とみている。