名古屋市議報酬が半額の年800万 ほかの自治体でも「高すぎる」の声

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   河村たかし市長が音頭を取って進めてきた名古屋市議の報酬半減が、2011年5月から実現することになった。河村氏率いる減税日本は統一地方選で伸び悩んだが、いずれこうした動きは浸透していくとみる専門家もいる。

「地域の議員や公務員の報酬・給与は民間より高いですので、これで議論が広がるのはいいことだと思います」

市議会でこれまで報酬半減案を5回提案

ほかの自治体でもやるのか
ほかの自治体でもやるのか

   地域政党「減税日本」の飯沼信彦幹事長は、取材に対し、こう胸を張った。「議員報酬を2、3割削減しようとする自治体も出ており、名古屋がその先駆けになったのではないでしょうか」と言う。

   名古屋市議会では、最大会派の減税日本と各党が2011年4月25日に議員報酬について合意。報酬を5月から暫定的に年800万円に半減させる条例案が27日の本会議に全会派から共同提出され、全会一致で可決される見通しになった。恒久ではなく暫定になったのは、減税日本が単独で議会の過半数に届かず、各党と妥協せざるをえなかったためだ。

   河村たかし市長は、高額な報酬が議席の指定席化や世襲を招いているとして、市議会でこれまで報酬半減案を5回提案していた。しかし、いずれも否決されており、リコール選挙を経て、ようやくその政策が実現するわけだ。800万円の報酬は、政令指定市では最低の水準になるという。

   名古屋で実現した議員報酬半減は、今後ほかの自治体にも広がるのか。

   減税日本では、統一地方選でいくつかの市区町村に首長や議員の候補を立てた。しかし、戦績は振るわなかったためか、飯沼幹事長は、「報酬半減を目指す自治体は、具体的にはまだ挙げられません。議会で協議しないといけませんので、実現にはハードルがありますから」と慎重だった。

   議員の次は、給与の高い公務員がターゲットになりうる。この点について、飯沼幹事長は、「名古屋市職員の人件費については、議員提案では触れていません。まだ具体案はありませんので、コメントは差し控えさせて下さい」と言う。

「ほかの自治体でもできると思います」

   政治資金に詳しい日大法学部の岩井奉信教授は、議員報酬半減について、「ほかの自治体でもできると思います」と見通しを語る。

「地方議会は、開催日数がそれほど長くありません。また、報酬も高く、たくさん議員がいます。財政状態が厳しい中で、それに見合った働きをしていない、報酬が高すぎるという声が強いわけです。名古屋はこうした面を初めて問題提起したもので、今後広がっていくと思います」

   ただ、名古屋市議会では、半減すべき根拠を問われた減税日本の議員が、答えられずに議会が紛糾したことがあった。河村人気に依存している面があり、岩井教授は、「適切な報酬額はいくらなのか、きちっと考えて議論する必要があります。河村市長の看板がなくてもできるかも問われるでしょう」と言う。

   議員の政治活動にはお金がかかる面もあり、岩井教授は「その点についても考えないといけません」と指摘する。

「議員は、プロかアマかどちらであるべきか、よく考えるべきです。プロなら、報酬は高い方がふさわしいでしょう。逆に、アマなら、専業でなく、報酬も安くて構わないわけです。議会を夜開くことも考えなければなりません。例えば、都道府県議はプロ、市町村議はアマという見方も可能です」

   もっとも、報酬が低ければ、政治資金の流れがますます不透明になる恐れもある。議員は、政治資金パーティーで個人献金を集めたりすることになるが、岩井教授は、「不正があったり、手当でお手盛りをしたりしてはいけませんので、監視を強めないといけないでしょう」と言う。

   公務員の給与削減については、「議員報酬を率先して下げることで、公務員も下げやすくなるはずです。その意味で、名古屋のケースは、1つのチャレンジであることは間違いないと思います」と話している。

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