避難所で菅首相は「激励と握手攻め」 「怒声は少数」は本当なのか

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   菅直人首相の官邸ブログ動画(カンフルTV)が再開した。避難所を訪れた菅首相に対する「激励の言葉と握手攻め」なども含めた「事実」を「淡々と」伝えようという趣旨だと広報担当者は説明している。一方で、現地の避難所からは「菅さんが歓迎されたなんてとんでもない」という声も聞かれた。

   「『もっと現場を見ろ』『邪魔になるから行くな』(略)様々な意見が飛び交う、総理の被災地訪問。『事実』を、淡々とお見せします」。官邸ブログではこう説明し、菅首相が被災地の宮城県石巻市を訪れた様子を紹介した約3分30秒の動画を公開した。

「支持率70%の首相か!?と錯覚しそうな光景」

菅首相の被災地訪問の評判は…
菅首相の被災地訪問の評判は…

   カンフルTVの再開は4月23日。3月2日の更新以降、中断していた。公開された動画は、4月10日に撮影された菅首相の石巻市訪問の様子だ。バスで移動しようとする菅首相に握手を求める人や、菅首相に手や帽子を振る男性の姿などの約10場面が紹介されている。

   カンフルTVの再開をツイッターで報告したのは、広報担当の下村健一・内閣審議官だ。下村氏は元TBSのフリージャーナリストで、10年秋に内閣審議官に就任した。

   4月23日のツイッターでは、菅首相が原発事故で揺れる福島県の避難所を21日に訪れた際の模様を報告した。郡山市の避難所「ビッグパレットふくしま」(4月25日朝現在、1532人が避難)で、「避難している方々の菅さんに対する『歓迎』ぶりに驚いた」「『頑張って!』という激励の言葉と握手攻めがあった」とつぶやいている。

   「支持率70%の首相か!?と錯覚しそうな光景だった」とも書いている。ちなみに、4月26日付の産経新聞朝刊によると、菅内閣の支持率は21.8%だった。

   ただ、紹介した事例は「事実」だが、「人々が内に秘めた『真実』」は別のもので、「『菅、何とかしろ!』という怒声に翻訳して受け止めねばならない」としている。

   「メディアがごく少数の怒声だけを拾って報じたのは、この『真実』を伝えたかったからだろう」と報道に一定の理解も示している。

   4月21日の菅総理による福島県の避難所訪問は、例えば「菅総理に住民詰め寄る」(テレビ朝日系夕ニュースの字幕見出し)などと報じられていた。

   下村氏はツイッターで、「総理に対し本音は歓迎気分である筈がない」とも断言した上で、「歓迎」ぶりが示された様子も「事実」として「有りのまま」に伝えたいとの考えを示している。

「菅さんを歓迎なんてとんでもない。ブーイングでしたよ」

   4月26日午後、「ビッグパレットふくしま」に電話をすると、年配の男性が出てきた。

   「(菅首相へ)激励の言葉と握手攻め」などとする下村氏のツイッター(23日)の「ビッグパレットふくしま」関連の箇所をこの男性に全文読み上げると、「とんでもない」と声を荒げた。

   「『菅さんを歓迎』なんてとんでもない。ブーイングでしたよ。マスコミが伝えた(菅首相への)厳しい声、こっちが正しいです」と話した。

   一方、下村氏は取材に対し、数日中にも菅首相による福島県内の避難所訪問時の動画が公開される予定だとした上で、「映像を見て頂ければ一目瞭然です。私が『歓迎』ぶりに驚いたのは事実です」と説明した。

   ただし、自身のツイッターでも触れたように、避難所での反応は「心からの歓迎」ではなく、「怒声に翻訳して受け止めるべきもの」と考えているとも強調した。

   「ビッグパレットふくしま」の関係者が、首相訪問時の様子について「歓迎なんてとんでもない。ブーイングでしたよ」と話したことについては、

「確かに厳しい口調で(菅首相に)語りかける方もいました。可能な限りそうした様子も含めて動画(カンフルTV)で紹介できればと考えています」

と答えた。「歓迎」の光景もあったし、厳しい声が飛んだ場面もあり、「両方、事実」(下村氏)ということのようだ。

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