新しい環境政党への期待はあるはず
鼎談の中で中沢さんは、原子力は化石燃料などと違い生態系の外にあるエネルギーであり、人間にはコントロールできない存在だと指摘。今回の「第7次エネルギー革命」の挫折を踏まえ、東北を「復旧」するのではなく、新しい形の先進地帯へと「復興」させるというビジョンを述べた。
これに対して評論家の東浩紀さんは、21世紀の社会運動と位置づけて柄谷行人さんが2000年に立ち上げ3年後には解散した「NAM」を引き合いに、「NAMのようにならないことを望みます」と、ツイッターでコメント。懐疑的な声が挙がったその一方で、「党員になりたい」「これは日本はじまるな」と中沢さんに期待する人も少なくない。
「フクシマ」事故を受けて、ドイツでは、3月27日の州議会選挙で「緑の党」が大躍進。最近の世論調査では、与党「キリスト教民主・社会同盟」の支持率30%に対し、「緑の党」は28%に肉薄している。
中沢さんの発言は、4月18日にビジネス情報誌「オルタナ」が紹介したことで、あらためて話題を呼んだ。編集長の森節さんによれば「日本では環境政党がこれまであまり育ってこなかったこともあり、その『受け皿』としても期待が高まっているようだ」という。
日本では、俳優の中村敦夫さんが「みどりの会議」を立ち上げたが、中村さんの参院選落選を機に2004年に解散した。その後身が、地方議会議員などでつくっている「みどりの未来」。このところ、入会希望やメールマガジンの申し込みが増えているという。運営委員の宮部彰さんは、中沢さんの構想について「政党・政治団体というよりも、思想運動あるいは提言集団・シンクタンクのようなものを目指しているのではないか」と話している。
J-CASTニュースが、中沢さんが所長を務める多摩美術大学・芸術人類学研究所を通じて取材を申し入れたところ、「取材などは、現時点ではまだお受けできない」とのことだった。中沢さんは、雑誌「すばる」で論考「日本の大転換」を発表する予定になっており、その中で「緑の党」構想についても改めて言及があると見られる。