アップルジャパンの求人情報が話題を集めている。ネット上ではスキルへの要求が「ハードルが高いのでは」との声も出たが、専門家は「このクラスならふつう」だと指摘する。
話題となっているのは、アップルジャパンのwebサイト内にある採用情報のうち、「iBooks Manager」の募集要項だ。iPad/iPhone向け電子書籍リーダー「iBooks」に関わる仕事。職務内容はすべて英語で書かれている。
望まれる「マルチ能力」
iBooks Managerは、主として日本における書籍ビジネスの構築を担う。コンテンツ戦略のほかには、社員とのコミュニケーション力やリーダーシップも求められる。優れたプロジェクトの管理力や調整能力はもとより、国内、海外の出版業界の動向への理解も必須だ。日本での業務が基本だが、米国の本社に出張することもある。
求めるスキル、教育、経験の欄には、BA(=Bachelor of Arts:文学士号)とBS(=Bachelor of Science:理学士号)のどちらかが必要で、MBA(経営学修士号)の所持も望ましいとある。さらに8~10年の出版業界での経験、2~5年のオンラインメディアでの業務経験、ビジネス会話レベルの英語力、国際的な業務経験が条件として挙げられている。
電子書籍の本格化で求められるプロフェッショナル
この求人はネット上でも話題になった。「出版業界経験、オンラインメディアの経験があるMBAホルダーって日本に何人いるのでしょう?」「いるのかその人材。いやまあ、いないから欲しいんだろうけど」「出版社とWebメディアの経験とMBAとビジネス英語&日本語ネイティブ、と超厳しいけど楽しそう」などと書き込まれ、その課せられている条件が注目された。
年収1000万円以上のハイクラスな求人情報を扱っている「ビズリーチ」の代表・南壮一郎さんによると、マネージャーとは、会社によってもまちまちだが、課長クラスに当たるという。リーダーとして業務を引っ張り、実務を行っていく人材だ。諸々の条件が挙げられているが「このクラスならふつう」だと南さんは指摘する。米国の本社との連携があるから、英語が話せることは当然必要となる。ただ、話題になった「MBAが望ましい」という記述については「あれば望ましいという域を出ないと思います。それよりもこの場合、出版やオンライン経験の方が重要でしょう。電子書籍が本格化していることからプロフェッショナルな人材がほしいのでは」と話している。