東日本大震災による未曾有の被害と、福島第1原子力発電所の事故で先の見えない不安が漂うなか、2011年4月に社会人となった新入社員。厳しい就職戦線を勝ち抜いて社会へと巣立った若者たちだが、その心理は複雑なようだ。
インターネット調査のマイボイスコムが実施したアンケートによると、今年の新人の過半数が仕事へ夢を持てないのだという。どういうことなのだろうか。
社会生活長くなるうちに夢失う
マイボイスコムのアンケートでは、「新入社員がどのように情報を得て、何に関心があるのか」に焦点を当てつつ、情報源としてのテレビについて新入社員を含むビジネスマンがどう関心を寄せているかを探っている。
まず、新入社員が仕事に対して夢を持っているか、との問いに対して「持っていない」との回答が56.7%に上った。アンケートが実施されたのは、2011年度が始まる前の3月18~21日。入社前にもかかわらず2人に1人以上が、社会人生活に夢を見いだせていなかったことになる。
厚生労働省が3月18日に発表した、2011年2月1日現在の大卒予定者の就職内定状況は77.1%で、過去最低の水準だった。調査には東日本大震災の影響による内定取り消しは含まれておらず、実際の就職率はこの数字を下回った可能性がある。「超氷河期」と呼ばれた就職活動を乗り切るなかで、仕事に対しても「夢を追う」よりも現実的な視点で臨んでいるということかもしれない。
同じ質問を先輩ビジネスマンに投げかけたところ、「仕事に夢を持っていない」との回答は77.7%と、新人よりも21%高い結果となった。数字を見る限りでは、新人で「夢を持っている」と答えた人でも2年、3年と社会人として毎日を送るうちに夢を失っていくようだ。