コンビニ営業時間は10時から20時まで
「放射線量が高く、危険なのではないか」との「風評被害」から一時、市内へ物資を運ぶ車両が激減した。桜井勝延市長(55)がユーチューブの動画に登場し、物流関係者もマスコミも市内へ入ってこないと窮状を訴え、国境も越えて高い注目を集めた。
また、原発だけでなく、沿岸部は大規模な津波被害を受けた。いわば二重の苦しみを味わっているわけだ。市によると4月19日朝現在で、死者485人、不明者989人。
市役所は、屋内退避地区にある。4月19日午後市役所1階で、視察に出る途中の防災服姿の桜井市長は、「今晩は隣の飯舘村で泊まる予定」と説明する記者に、「そりゃだめだあ。南相馬で泊まらんと」と冗談めかして話し、車に乗り込んだ。続きは、阿部貞康・市長公室次長兼秘書課長(56)が説明した。
阿部次長によると、物流は4月に入ってやや改善し、20-30キロ圏の屋内退避区域では、コンビニエンス・ストアや飲食店の一部が営業を始めた。しかし、まだ大手スーパーは開いておらず、新聞も配達されない区域が結構ある。
市内を車で走ると、屋内退避地区では、コンビニや牛丼チェーン店、ガソリンスタンドで営業している店も少なくはない。しかし、休業中の店舗も目立つ。
コンビニの品揃えも店によりまちまちで、2リットル入りミネラルウォーターやカップ麺、おにぎり、缶ビールも比較的豊富な店もあれば、2リットル入りミネラルウォーターが売り切れ、パン・菓子類がほとんどないところもあった。
数件のコンビニに話をきいた。営業を再開したのはどこも10日ほど前。営業時間は「10時から20時まで」と限定している。ちなみに、首都圏で一時品不足になったヨーグルトは、南相馬市でもあまり見当たらなかった。ただし、隣の飯舘村や福島市の福島駅周辺のコンビニでは、数種類のヨーグルトが潤沢にあった。
政府は4月22日、避難指示が出ている、福島第1原発から半径20キロメートル圏内を、立ち入りを原則禁じる「警戒区域」とする。 阿部次長は、マスコミに対し「政府が決定した事項なのか、それとも数ある検討案のひとつなのか、勿論峻別して報道されているとは思うが、より分かりやすく、まだ方針なのか決定事項なのかを明確に報道して頂けると、市民が混乱することが減ると思う」と注文をつけた。