てんかん発作で意識失う? 鹿沼事故の引き金は何なのか

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   栃木県鹿沼市で小学生6人が亡くなった事故で、クレーン車の運転手がてんかん発作で意識を失っていた可能性が一部で報じられている。運転手は免許を持っていたというが、免許申請への対応はどうなっているのか。

   ハンドルを抱くように突っ伏したまま、事故後もしばらく動かず…。

大型免許や第2種免許については、「適性はない」

ネット検索でも関心高まる
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   鹿沼市の死亡事故で、クレーン車を運転し、自動車運転過失致死の疑いで逮捕・送検された柴田将人容疑者(26)は、こんな状態で小学生の列に突っ込んだと報じられている。

   柴田容疑者は、「居眠りしていた」と供述しているという。しかし、勤め先を出てわずか3分後、約700メートル走ったところで事故を起こしたため、てんかんの発作を起こしたのではないか、という見方も出ている。柴田容疑者は、クレーン車も運転できる大型特殊免許を2009年4月に取得していた。

   仮にてんかんの持病があるとして、こうした運転免許が取得できるものなのか。

   かつては、免許取得そのものができなかった。しかし、02年の道交法改正で、一定の条件を満たせば取得できるようになった。それは、過去5年間に発作がなく、これからもその恐れがない、あるいは、過去2年間に睡眠中に限って発作が起こり、今後も悪化の恐れがない、といった医師の診断書があるなど4つの条件だ。

   栃木県警の運転免許センターによると、てんかん患者は、条件さえ満たせばどんな免許でも道交法上は取得できる。しかし、日本てんかん学会は、02年の法改正時に警察庁と協議し、大型免許や、タクシー、バスなどの第2種免許については、「適性はない」との見解を示している。同センターでは、これに基づいて、強制力はないものの、てんかん患者が両免許取得を希望する場合は、考え直すように求めているという。

てんかんの持病を申告している人はたくさんいる

   ただ、クレーン車などの大型特殊免許については、適性についての見解は示されていない。また、てんかん患者が持病を隠して申告しなくても、刑事罰はないという。

   栃木県警運転免許センターの担当者は、柴田将人容疑者が同センターで免許を取ったかについては、「個別の事件ですので、コメントできません」と言う。一方で、てんかんの持病を申告している人はたくさんいるが、申告せずに行政処分で免許を取り消されたり、事故を起こしたりする人もいるとした。そのうえで、「私どもとしては、現行制度でできることをやるしかありません」と言っている。

   柴田容疑者は、過去にも小学生を乗用車ではねて民家に突っ込む同様な事故を起こしている。同じ鹿沼市内で2008年4月9日、小学生男児1人が右足に重傷を負った事故で、当時も「居眠りしていた」と供述していた。この年11月に禁錮1年4か月執行猶予4年の判決を受けたが、「仕事疲れから眠気をもよおした」と認定されたようだ。

   今回の事故では、てんかんの発作が原因なのか、あるいは別の原因があるのかは今後の捜査次第だが、起訴されれば、過失の有無が争われる可能性がありそうだ。

   同様な事故では、薬を飲んでいても、過失致死罪に問われたケースがある。三重県四日市市で10年12月30日に、歯科医師(46)の乗用車が自転車に追突して2人を死亡させたとされた事故では、津地検四日市支部が、てんかんの発作があるので運転を控えるべきだったとして起訴している。一方、歯科医師側は、発作のほとんどが睡眠中だったとして、11年4月20日の初公判で無罪を主張している。

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