賠償金、どう手当て?
現在、東電債の発行残高は約4兆8000億円。東電の有利子負債額の約7割を占めていて、社債の償還費用は毎年約5000億円にのぼる。必要な資金は例年4月に調達するが、それができなくなっている。
社債が発行できず、メガバンクなどから約2兆円を借り入れ、償還費用は確保、当面の原発事故の対策費用と夏の電力需要に向けた火力発電所の稼働にかかる費用に充てることにしている。
しかし、借り入れた資金には原発事故による住民への損害賠償費用は含まれていない。
東電は当面の資金繰りを銀行融資に頼らざるを得ない状況だ。ただ、これまで東電債を引き受けてきたのもメガバンクや生命保険会社で、このまま金利の上昇が続くと、こうした金融機関も多額の損失処理を迫られることになる。
「国有化の議論がくすぶっているし、社債のデフォルト(債務不履行)は考えづらい。とはいえ、銀行負担はかなり重くなるので、追加融資には慎重にならざるを得なくなる」(外資系アナリスト)とみている。