東日本大震災への対応をめぐり、自民党が民主党への対決姿勢を強めている。震災後、表だった政権批判を控えてきた谷垣禎一総裁が、2011年4月14日の会見で、辞任要求を「解禁」。民主党の岡田克也幹事長は「信頼関係をつくりたい」として、テレビ番組の中で党首会談を呼びかけたものの、自民党の石原伸晃幹事長は、菅首相について「人間としての問題がある」などと、「人間として」という言葉を少なくとも2度も使って菅首相の資質を批判。党首会談には慎重姿勢を見せた。
震災から約1か月にわたって、自民党は支持率低迷が続く菅首相の退陣論を「封印」してきた。ところが、統一地方選の前半戦での民主党の惨敗ぶりが明らかになると、谷垣総裁は記者会見で「国民は、菅政権に復興の舵取りを委ねることはできないという意思を示している」と方向転換。「自ら出処進退について判断する時に来ている」と、自発的な辞任を迫った。
「やっぱり、総理の発言によるところが大きい」
この背景を、石原伸晃幹事長が4月18日朝にNHKで放送された「日曜討論」の中で、菅首相について「人間としての資質」という言葉を使いながら解説している。
「やっぱり、総理の発言によるところが大きいと思う。『(福島第1原発周辺に)20年間住めない』とか。(発言は後に)否定したが、そういう発言が官邸から聞こえてくる。『東日本が大変なことになる』とか、指揮官が危機を煽るようなことを官邸から発生させたことがいけない。東電に乗り込んで3時間怒るとかね。そういう人間としての資質というものを見たときに、『本当にこのままで大丈夫なのかな』。こんなことを総裁は思って、あそこまで踏み込んだ発言をした。総理に対する警鐘ですよ」
あわせて、辞任要求については「直ちにではありません」と、ややトーンダウンさせた。
この批判に対して、民主党の岡田幹事長が、
「余人を交えず、とことん疑問をぶつけていただきたい。総理は、きちんとそれに対して答えると思うし、そういったことに意見があれば、耳を傾ける気持ちはあると思う」
と、二人きりでの党首会談を提案した。
入閣断った時に菅首相が激高
だが、石原幹事長は、3月19日に菅首相が谷垣総裁に入閣と大連立を持ちかけて断られた時の様子を引き合いに、
「3月19日にね、総理が総裁に電話をされてきた訳ですよ。『あんた、副総理で、防災(担当)やってくれ』と」
と、やや苦笑いを浮かべた。その上で、谷垣総裁が入閣を断った時に菅首相が激高したことを暴露、「人間としての問題がある」と切り捨てた。
「そしたら(入閣を断ったら)、『あなたは、私と責任を分かち合わないんですか!』と、急に菅さんが怒り出した。やはり一国のリーダーというものは、『責任はおれがとる。しかし、一緒にやろうよ』とか(言うのが普通だと思う)ね。これまで何の信頼関係もない時に、『おお、あんた、やってくれないのか。それだったら上等じゃないか』みたいなことを電話で言う総理大臣なんて菅さんが初めて。やっぱり、そこの人間としての問題がある、総理は」
一方の岡田幹事長は
「もう少しお互い信頼関係があって進めることができれば、それは国民の立場、被災者の立場からみれば、絶対その方が好ましいと思う」
と、あくまで党首会談の実現を目指す考えだ。