円安と原油高のダブルパンチが心配
実際、内閣府が3月23日にまとめた2011年度の成長率への震災の影響試算はGDPが0.2~0.5%押し下げられるとしているが、計画停電の影響などは含まないため、「かなり控えめの数字」(エコノミスト)。ちなにみ、第一生命経済研は電力不足が2011年度1年間でGDPを3.9兆円押し下げるとの試算をまとめている。
さらに、ここにきての不安材料が、為替と原油高。7~9月期の急回復には、復興事業とともに、米国など海外景気回復による輸出持ちなおしも織り込まれているが、1ドル=70円台の急激な円高・ドル安進行は日本経済にマイナスなのは当然として、逆に、ここへきて、円安への懸念もささやかれ始めている。
外国為替市場では米欧の景気回復に伴う利上げ傾向で、日本との金利差拡大の思惑が直接のきっかけになって、このところ1ドル=85円前後の円安基調に転じている。これに、中東情勢の不安などに伴い原油価格は1バレル=100ドル超の水準に、2010年より30ドル程度上昇している。原発事故もあって、当面、日本では火力発電への依存が高まるのは必至。「円安と原油高のダブルパンチで輸入エネルギー価格が上昇し、日本経済の一段の下押し要因になりかねない」(民間シンクタンク)との指摘もある。