東日本大震災を機に、首都機能を一部移転すべきだとの声や「副首都」を創るべきだとの声が再燃しつつある。「首都圏が直下型地震に襲われる可能性があり、機能を東京に一極集中させておくのはリスクが高い」という考え方によるものだが、実現には、まだまだハードルがありそうだ。
国会での議論は「立ち消え」
国会や行政機関などの一部を東京以外に移す「首都機能移転」の構想をめぐっては、首相の諮問機関である「国会等移転審議会」が1999年に愛知・岐阜、栃木・福島の2地域を移転先候補とする答申を国会に提出している。移転先の候補は誘致活動を繰り広げたものの、国会での議論は停滞。国会等移転特別委員会は結論が出ないまま廃止され、05年には政党間協議も途絶えてしまった。事実上、構想は立ち消えになってしまった形だ。
だが、東日本大震災を機に、首都機能移転をめぐる議論が再燃しつつある。特に目立つのが関西の財界で、大阪商工会議所の佐藤茂雄会頭は3月18日、
「リスク分散として、色々考えなくてはいけない」
と発言。関西経済同友会の山中諄(まこと)代表幹事(南海電気鉄道会長兼CEO)も3月31日、
「真剣に取り組むべき」
と述べた。
メディアからも、同様の声があがっている。例えば西日本新聞は3月28日の社説で、
「首都圏一極集中を緩和する機会ともいえる。東京に残さなければならない機能や組織と、そうでもないものを分けて、首都圏以外と分担する。あるいは、危機の際に一時的に肩代わりできる態勢をとる」
と論じている。