被災地復興最優先で海洋まで手が回らない
海洋のゴミ問題は、長年議論されている。震災によるがれきは故意に投棄されたものではないが、あまりにも大量であり状況は深刻だ。しかし、漂流するがれきに対する対策は、現時点では「検討中」(環境省)。震災による人命救助や被災地の復興が最優先で、海洋のがれき処理にまで手が回らないのが実情だろう。
前出の「JEAN」は、「がれきは、すべてがひとつに固まって漂流するわけではなく、長い距離を進むうちに拡散していきます」と説明する。「北太平洋ゴミベルト」に漂着するころには、現在よりも分量は減っていることが予想される。だが、生活品のあらゆるものが流されており、中には油性の廃棄物や化学品のように有害物質を含んでいるものもあるだろう。海洋汚染や生態系への影響は心配だ。
スマトラ沖地震の際も、大量のがれきが海に流出したと想像されるが、JEANによれば日本への直接的な被害は報告されておらず、海外でも大きな問題としては扱われなかったという。しかし今回は、住宅から車、電化製品、家具などスマトラ地震の時とは比較にならないほど多種多様のモノが流れ出した。「日本発」のがれきが世界中の海に与える負荷を考えると、なんらか対応が必要なのかもしれない。