東京電力の清水正孝社長は2011年4月13日、東京・内幸町の本社で記者会見を開き、福島第1原子力発電所の事故について改めて謝罪した。事故で避難を余儀なくされている被災者などへの損害賠償について、当面の生活に必要な資金を仮払いすることを明らかにした。
だが、支払いの時期については「1日も早く」「今、詰めている」と明言を避けた。さらに、自らの出処進退や原子力のあり方について問われても「現時点でコメントする段階ではない」というフレーズを連発。事態が収束するめどについても「1日も早く」と繰り返すばかり。質問の中で「そば屋の出前のようだ」皮肉る記者もいた。
出処進退には「現時点でコメントできる状況ではない」
清水社長が東京で記者会見に応じるのは3月13日以来1か月ぶり。清水社長が兼務している日本経団連副会長と電気事業連合会会長については辞任の意向を明言し、大賞を受賞していた「第20回地球環境大賞」(主催: フジサンケイグループ)については受賞を辞退する考えを明らかにした。福島原発1~4号機が廃炉になる見通しも示した。だが、事態が収束するメドについては、語られることはなかった。
例えば、菅直人首相が原子炉冷却のメドを示すように指示したことについては、
「現在、詰めている段階。これについても、1日も早く対応策について示したい」
と回答。被災者や農家への補償額や賠償金の配分方法について「事業者の判断で決められるのではないか」と指摘されても、
「具体的な方法については、一刻も早く決めたい。これから決めたい」
と、同様の答えを繰り返した。「1日も早く」としか言えない理由を問われても、
「対応策の具体的な案を1日も早くお示ししたい。それを練っている」
と、オウム返し。具体的なスケジュール(工程表)は示されなかった。
また、自らの出処進退や経営責任、今後の原発のあり方、上場廃止の見通しについては「現時点でコメントできる状況ではない」という言葉を繰り返した。