東日本大震災から2011年4月11日で1か月が経ったが、避難所生活で今困っているのはトイレの問題だ。関係者の間では、トイレ環境の悪化からの感染症が心配だという声が出ている。
NPO法人「日本トイレ研究所」の加藤篤代表は4月上旬、岩手県釜石市・大槌町・陸前高田市、宮城県気仙沼市の避難所を訪れ、トイレの現状を目の当たりにした。
暖かくなると「臭い」問題が深刻に
「水・電気・排水できるかなどインフラの状況に違いがあり、避難所ごとにトイレの現状には差があるように感じました。トイレットペーパーや衛生用品の充実具合も違います。とくに大変なのは水のない地域です」
仮設トイレがない避難所では、新聞紙やビニール袋に詰められた排泄物が、臭いが飛散しないように段ボール箱に集められているのを見た。水がないので手も洗えないが、排泄物は素手で処分しなくてはならない状況は衛生的にもよくない。さらには、気温が低くてもある程度の「臭い」があったのに、今後暖かくなったら、もっと深刻になるのでは、と心配する。
こうした状況の中、医療関係者からは「感染症(インフルエンザやノロウィルスなど)が広まるのが心配」との指摘が出ている。免疫力が弱ると、下痢・嘔吐の症状も出やすくなるのだ。
「トイレの環境が悪くなると、心理的にもトイレに行きたくなくなり、水分や食事を控えてしまいがち。すると、体力や免疫力が落ちるから、感染症にもかかりやすい。トイレ問題は後回しにされがちで、報道もあまりされていない印象もありますが深刻です。また、トイレに行きやすい環境にすることも大事。照明をつけたり、消臭剤を置いたり、掃除や消毒をしたりする工夫があれば」