タレントのビートたけしさんの「東京湾に原発作れ」という提言が注目を浴びている。
2011年4月11日夜に放送されたテレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル 春の3時間SP」の収録後の発言を、同日発行のサンケイスポーツや東京スポーツが報じたものだ。
「都知事になったらよかったのに」
「福島原発の電力を首都圏が利用しているのに、原発のリスクを地方の県や人に押しつけるのはおかしい。東京湾に作って、東京の人がそれで生活したら、何も文句は出ないはず。都心は地盤が悪いとか言うけど、地震が来ればどこも同じだよ」
たけしさんのこの持論が掲載されたサンケイスポーツの記事に対し、インターネットでは、
「よくぞ言ってくれた!」「昔からこの意見に賛成」「正論だ!」
「これぐらい言わないと、みんな原発についてちゃんと考えない」
など賞賛の声が相次いだ。東京都知事選直後ということもあり、「たけしが都知事になったらよかったのに」という声もあった。
たけしさんは1996年に発売した著書「落選確実選挙演説」でも同じ考えを訴えていた。東京スポーツによると、たけしさんは、今回の原発事故でこの考えが「案外的を射てきたかもな」とし、
「1300万人もいる東京に原発を作るとなると、どんな地震が来ても、津波が来ても、完璧に絶対に大丈夫な原発を作るはずだもの。そうすっと、東京都は地方にカネをやんなくてもいいわけだし」
と、東京に原発を作るメリットを説明。
「やっぱり、地方にリスクを押し付けて、東京だけいい生活をしようってのは虫がいい話なわけでさ。だったら、東京は地方にガタガタ言わせないためにも『お台場に原発を』だね」
と提唱した。
「皮肉で言っているのに真に受けるな」
拍手喝采の一方で、「現実問題不可能だろ」「そんなことしたら日本が終わる」「もうちょっと考えて発言してくれよ」など、たけしさんの発言に否定的な声も見られる。
また、「皮肉で言っているのに真に受けるな」「これは例え話」というように、この発言が「東京湾に原発」の実現が難しいとわかったうえでの皮肉だとする声もある。たけしさんは1999年に都知事選出馬が噂されたとき、「独裁者ならやってもいいな。東京湾に原発を作ったりして」と冗談まじりに出馬を否定していた。
「東京湾に原発を」という提唱は、これまでも原発の危険性を訴える人たちによって、「そんなに安全というならば、地方ではなく東京に作ればいいではないか」という批判的な文脈でされてきた。2000年4月には、都知事の石原慎太郎氏が原発の必要性を強調するために「東京湾に原発を作っても構わない」と発言し、話題となった。