中国大使館のサイトでは支援内容を具体的に挙げる
だが台湾では、別の形で菅首相からの謝意が届けられたようだ。日本政府の窓口機関として台北に設置されている「交流協会」は4月11日、現地で記者会見を開き、今井正代表が「台湾の皆さまから温かい支援を得て、私たち日本人は団結して、復興に向け全力を尽くします」と述べた。
さらに台湾政府が運営する「中央放送局」によると、菅首相の「絆」のメッセージが、今井代表から台湾政府トップの馬英九総統に送られたという。同じ内容が交流協会のウェブサイトでも配信されている。内容は海外紙に掲載した広告とほぼ同じだが、よく見ると、
「台湾からは、地震発生直後から、28名からなる救援隊の派遣、総量約400トンの支援物資の提供、多額の義捐金の申し出などのご支援、また数多くの方々から励ましのメッセージをいただきました。台湾の皆様から示されたこのような心と心の絆に深く感謝申し上げます」
と、台湾に向けた「特別メッセージ」のような内容が入っていた。
首相の新聞広告を見ると、英語版には特定の国を挙げて感謝を示した記述はなく、中国の人民日報に載った広告も同様に、中国だけにあてた記述はない。
実はこのメッセージは、一部の国の在外公館ウェブサイトでも閲覧できる。駐米日本大使館のサイトを見ると、ページ上部に「米国の皆さまのご協力とご支援に感謝します」と掲げられているが、「絆」メッセージの中身には米国の具体的な支援内容は見当たらない。
ところが在中国大使館のページは違った。「中国には、地震発生直後の3月13日に救援チームを派遣していただいた」「3000万人民元相当の物資、ガソリンやデイーゼルオイル1万トンずつを緊急援助として被災地にお送りくださった」と支援内容を具体的に挙げ、胡錦涛国家主席が天皇陛下に、地震の犠牲者に対する哀悼の意を表すメッセージを送ったことにも触れた。
中国との関係を考えて、感謝のコメントにも「特別の配慮」を見せたのかもしれない。