キャンセル相次ぐ修学旅行異変 首都圏から九州や北海道に変更

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   東京電力の福島第1原子力発電所の事故と東日本大震災の影響で、4~6月がピークの中高校生らの修学旅行に異変が起きている。西日本や北海道・東北地方の修学旅行は、東京ディズニーリゾートや東京スカイツリーなど首都圏が定番コースだが、2011年は原発事故と震災の影響でキャンセルが相次いでいる。

   修学旅行生よりも深刻なのは外国人旅行客で、世界遺産の日光(栃木県)や箱根(神奈川・静岡県)、京都・奈良などの観光地も軒並み外国人の来客が減っている。

約8割が「目的地の変更を検討」

   首都圏の修学旅行のキャンセルは、人気の東京ディズニーリゾートが東電の計画停電や余震、液状化などのため休園している影響が大きい。大手旅行代理店によると、関西など西日本から首都圏を訪れる予定だった学校の約8割が「目的地の変更を検討している」。一般客の首都圏へのツアー予約も前年同期より約6割も減っているという。

   関西のある中学校は「首都圏は交通網の混乱が残り、新宿の放射性物質の濃度が今なお平常値を超えていることから、生徒の安全を確保できない」としてキャンセル、旅行先を九州に変更した。大阪市教育委員会によると、市内130の中学校の約2割に当たる23校が首都圏への旅行を計画していたが、目的地の変更を検討中という。

   関西から首都圏を訪れる予定だった修学旅行生の目的地の変更先は、九州や沖縄県、北海道などが目立っている。沖縄県の旅行代理店などによると、6月までに関西から約50校、約5000人が首都圏をキャンセルし、沖縄を訪れるという。北海道の旅行代理店や観光協会などは修学旅行生の誘致を本格化した。

ディズニーの代わりに大阪市のユニバーサル・スタジオ

   首都圏の東京ディズニーリゾートの代替なのか、大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパンを京都や奈良と組み合わせ、全国から関西を訪れる修学旅行は増えている。京阪神のホテルには「首都圏の代替」とみられる問い合わせや予約が4月以降、全国から相次いでいるという。

   一方、日本を訪れる外国人旅行客は激減している。福島第1原発から500キロ以上離れた京都・奈良にも影響が出ており、外国人を専門に扱う京都市内の旅行代理店によると、原発事故以降、欧州などからのツアー客のキャンセルが相次いでいる。関西国際空港から入国する外国人は平時の1日当たり約4000人が約1700人と半減しており、金閣寺や清水寺の観光客も2~3割減っているという。関係者は「政府や東電の情報開示が不十分で、何が起きても『ただちに影響はない』と繰り返すだけでは、日本が信用されなくなるのではないか」と漏らす。

   ゴールデンウイークは、いつもなら国内旅行の繁忙期となるが、大手旅行代理店の3月の一般客ツアー予約は前年同月比3割減と振るわなかった。外国人、日本人を問わず、国内旅行に与える影響について、大手旅行代理店は「原発事故が収束する見通しが立たず、地震の余震も続く現状では、全国で自粛ムードが続くのは避けられそうにない」と見ている。

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