関連法改正できてもその後も時間かかる
民主党は最高裁判決を受け、「1人別枠方式」を廃止する方針を固め、2009年衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた衆院比例定数80削減も合わせ、各党に協議を呼びかける考えで、今国会中に関連法の改正を目指す。
だが、その後の手順は時間がかかる。仮に今国会で同方式廃止の法律が成立したとしても、衆院選挙区画定審議会での区割り案策定に1年、周知期間に1年を想定すると2013年8月の任期満了近くまで衆院選は実施できない計算になる。
そもそも法改正をめぐる与野党協議は難航必至。同方式廃止には「人口の少ない都道府県の代表をどう選ぶかという知恵だ」(安住淳・民主党国対委員長)との声が与野党を通じて根強く、特に震災とのかかわりで、「震災でも過疎地域の問題は深刻。人口以外の視点も含め議論すべきだ」(小野寺五典・自民党衆院議員=宮城6区)など、反発の声が早くも上がる。さらに、自民、公明両党には「中選挙区制復活論者」が少なくなく、選挙制度まで踏み込めば収拾がつかなくなる恐れもある。
早期解散が遠のいく中、これで菅直人政権が安泰かというと、そう単純ではなさそうだ。これまで政権を維持してこられたのは「引きずり降ろされるくらいならば解散する」との脅しが効いていた側面もあるからで、その「宝刀」がなくなれば、「菅下ろしの障害がなくなる」(小沢一郎元代表系議員)。さらに、自民党には大連立の絶対条件として首相退陣を譲らない声もあり、菅首相の政権運営は綱渡りが続く。