小選挙区間の「1票の格差」が最大2.30倍だった2009年8月の衆院選を「違憲状態」と判断した最高裁大法廷の判決(2011年3月23日)を受け、国会は大幅な区割りの見直しをすすめることになる。ただ、今回の判決が「格差の主要因」と述べた区割り基準の「1人別枠方式」について、廃止には抵抗も強い。
東日本大震災の「被災地の声」を錦の御旗に反対する向きもあり、順調に作業が進むかは微妙だ。大震災により多数の自治体が選挙を実施できなくなっていることも含め、衆院解散が一層遠のいたのは間違いない。
「当面、衆院解散は封印された」
最高裁が格差3倍未満の衆院選を違憲状態としたのは初めて。判決が問題にした「1人別枠方式」は、選挙区定数300をまず47都道府県に1ずつ配分し、残り253を都道府県別人口に応じて比例配分する仕組み。判決は、「小選挙区制導入時は激変緩和措置として合理性があったが、新制度初の衆院選から10年が経過しており、合理性は失われた」と判断した。同方式について、政界は「ここまで最高裁が明確な判断をするとは思わなかった」(与党幹部)と、衝撃を受けており、もしこの司法判断を無視して小手先の区割り見直しで次期総選挙を実施すれば、選挙の有効性が問われるのは必至で、「当面、衆院解散は封印された」(同)との見方が一般的だ。
同方式を廃した場合、都市部の議席が大幅に増え、東北や中四国、九州などを中心に地方が減る。2010年の国勢調査で試算すると21増21減になる。東京は6増の32議席、神奈川は3増の21議席、埼玉、千葉、愛知、大阪も各2増で、それぞれ17、15、17、21議席、その他4道県が各1増になる。その一方、青森、岩手、宮城の被災3県をはじめ、21県が1議席ずつ減り、鳥取県は全県で1議席だけになる。