消費税アップなら医療が崩壊する 「損税」になる制度の不公平訴え

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   全国の病院が「消費税」の負担で苦しんでいる。医療機関の「損税」問題だ。複雑な制度の下で、年間の損害額は1病院平均で3000万円、私立医大では3億6000万円にものぼっているという調査がある。

   借金財政さらに今回の大震災に必要な膨大な復興資金を考えると、消費税アップが現実味を帯びてくるなか、2011年3月中旬、兵庫県尼崎市で「医療と消費税~不公平な消費税で医療機関が崩壊する」と題した初めての市民公開セミナーが開かれた。医療関係者は、現行のしくみのままで消費税率が上がると、医療崩壊を招きかねないと、悲痛な声を上げている。

国を相手に損害賠償求める

   主催したのは兵庫県民間病院協会(吉田耕造会長)。協会に加盟している4医療法人が代表して10年9月、「消費税は不公平だ」として国に対し、各病院1000万円、計4000万円の損害賠償を求める訴訟を提起している。会長の吉田病院、副会長の尼崎中央病院の地元であることから尼崎市が会場になった。

   消費税は流通の各段階で取り引きに関係した業者が預かり、それぞれの「預かり金」を国に納税、最終的には消費者が負担する仕組みになっている。ところが、保険医療費、介護料などは公共料金や学校授業料などと同様、非課税になっている。非課税だと消費者である国民が助かる、ということで日本医師会も設計・実施の時点で了承したのだが、実際に運用してみて病院が大きく損をする「損税」であることがわかった。

   病院が医療機器や医薬品をメーカー、商社から買ったり、設置したりする時に消費税がかかる。ところが医療費の大部分は非課税なので、その分を消費者(患者)から取れず、大部分が病院の負担になる、というわけだ。

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