ネット上に飛び交ったデマの影響
それでも休校措置がとられるほど「放射能雨」が恐れられたのは、ネット上に飛び交ったデマの影響も大きい。実は東関東大震災が起きて間もない3月15日、ツイッターに「韓国にもうすぐ放射能が飛んでくる」と投稿されて韓国のユーザーの不安をあおり、塩や昆布、おむつなどの買いだめが広がったという。今回は、ノルウェーやドイツの気象庁が、朝鮮半島に放射性物質が飛来してくる可能性を発表したのだが、ネット上で「尾ひれ」がついて「恐怖の放射能雨が降る」とうわさが拡大したようだ。
「騒動」から一夜明けた4月8日も、ネット上で放射能雨の話題は尽きない。ツイッターには「昨日は放射能雨、今日は黄砂」「親の立場とすれば、私の体ではなく子どもたちが心配」といったコメントが並ぶ。
韓国民にとって不安が拭えないのは、原子力発電の依存度が高いという国の特性もあるだろう。現在稼働している原発は21基。電気事業連合会の資料によると、原子力発電による出力量は世界6位。また国内の電力供給のうち34%を原発に頼っており、この割合は世界でも2番目の高さだ。そんな事情を抱える中で起きた隣国・日本での未曾有の原発事故と、放射能という目に見えない恐怖に、ややパニック気味になっているようにも見える。
国民の不安が高まる中、韓国政府は、福島第1原発から低濃度の放射能汚染水を海に放出した日本政府の決定に対して「憂慮の念」を伝えた。韓国国会では金滉植首相が、日本側から事前に連絡がなかったことについて「日本が無能だ」と強い調子で批判したという。原発事故の対応が遅れ気味の日本に、矛先が向けられつつある。