東日本大震災による天井落下事故で2人の犠牲者を出し、現在休館中の東京都千代田区の九段会館について、「このまま閉館になるのではないか」との見方が強まっている。
インターネット上では、すでに閉館が決定、という情報が流れている。
スタッフ全員解雇?
大震災が発生した2011年3月11日、同館の1階ホールでは東京観光専門学校(新宿区)の卒業式が行われていた。地震の大きな揺れで天井の一部が崩れ落ち、下敷きになった同校の非常勤講師2人が死亡、学生ら26人が重軽傷を負った。
ツイッターでは3月26日、「九段会館:今後の営業を断念した模様。それに伴い、スタッフ全員解雇だそうです。個人的にも非常に残念…」という書き込みがあった。真偽は分からないが、この書き込みは200件以上リツイートされ、
「やはり九段会館は閉館するんですね…。残念です」
「閉館だそうで悲しい。試写会でしか行った事ないけど、古きよき建築物」
「九段会館閉館とか。毎月、会議をしていたんだ。震災の日は、たまたま会議では無かったけど。想い出深いな」
など、九段会館を惜しむ声も上がっている。
ツイッター上のプロフィールによれば、閉館情報を書き込んだのはブライダル業界の人間で、27日には「営業断念のツイートに沢山の惜しむコメントを頂きました。自分は関係者ではないですが、何故か嬉しい」とコメントを残している。
「被害に遭われた方々へ精一杯の対応をしているところ」
九段会館は1934年に軍の施設として建設された国有施設。戦前は軍人会館と呼ばれ、二・二六事件の際には戒厳司令部が置かれたという。戦後はホテルのほか、挙式場、レストラン、貸しホールなどを擁する文化施設として運営され、西洋建築の上に和風の屋根を載せた「帝冠様式」の代表的な建物として親しまれてきた。
天井の崩落事故については、「天災だからしょうがない」という声と「建物に問題があるのではないか」という声に分かれている。ただ、犠牲者が出てしまったことへの風当たりは強い。
亡くなった2人の遺族は3月30日、施設管理などに問題があったのではないかとして、警視庁麹町署に捜査するよう申し入れた。
営業断念の真偽について、九段会館を運営する日本遺族会は、「被害に遭われた方々へ精一杯の対応をしているところで、明確にはお答えできません」と話している。