誤解されない、分かりやすい説明が必要
要請のきっかけになったのが、警察庁が2011年4月1日にサイト上などで明らかにしたデマの具体例だ。
「被災地では強盗や強姦が増えている」
「ナイフで武装した外国人窃盗グループが被災地を荒らし回っている」
総務省では、こうしたデマが流れているとのことから、政府として何かできないかと考え、ネット事業者らに対応の徹底を呼びかけたそうだ。
もっとも、こうした呼びかけが、結果として、表現の自由に抵触する可能性を指摘する向きもある。
日経の田原和政編集委員は、7日付記事で、国の要請が「情報統制につながる危うさ」も指摘した。「『自主的な』という断りが入っているが、行政の直接要請は事実上の介入効果を及ぼす」というのだ。
要請された各団体では、「約款などによる判断は難しいかもしれませんが、場合によっては削除もありえます」(テレコムサービス協会)「ガイドラインに基づいて、名誉毀損などの例があれば、削除していきます」(電気通信事業者協会)と言っている。
いずれにせよ、総務省によるデマ削除要請そのものが拡大解釈され、デマのように広がったのは皮肉なことだ。こうしたときこそ、誤解されないよう細心の注意を払った、分かりやすい説明が求められそうだ。