世界中にある不安材料
インフレ懸念は世界的に強まっている。2011年3月以降、ブラジルやインド、韓国、タイなどの新興国が相次いで「金融引き締め」を発表。4月5日には中国もインフレの抑制を狙いに、10年10月以降4回目の利上げに踏み切った。
さらには欧州中央銀行(ECB)や、米国も量的緩和策の拡大策を6月に打ち切るとの観測が広がっている。
また、ポルトガルやスペインなど欧州でくすぶる財政不安に、米国の景気回復も足どりが確かなわけではないことも不安材料としては小さくない。ある証券アナリストは、「現状はリスク資産への投資を強めたいが、まだ不確実性が高く思い切れない。いわば、投資先を探して資金が漂流しているような状態です」と分析する。
そのため、これまでの金融緩和でだぶついた投資マネーが、実物の裏づけのある「金」に逃げているというわけだ。