原乳の出荷制限「影響小さくない」
ヨーグルトの場合は、計画停電が妨げとなっている。乳製品メーカー大手、明治の広報によると、製造過程で重要となる発酵や冷蔵の際、途中で停電が起きると温度調節ができなくなり、品質にかかわる。機器の洗浄などを含めると、これらの工程にはおよそ半日を要するため、計画停電が数時間でも実施されればその日の生産は中止せざるをえない。停電の有無が前日に分かったとしても「従業員の勤務割をすぐに組めるわけではなく、生産計画を立てるのも難しい」というのが実情だ。
東京電力は、4月10日までの計画停電実施見送りを明らかにしている。気温の上昇で暖房需要が減り、火力発電所の復旧で電力供給量も若干回復したため、4月末で計画停電をいったん打ち切るとも報じられている。だがヨーグルトの生産は「計画停電がなくなったとしても、見通しを立てづらい」(明治広報)ようだ。納豆同様、容器をはじめ出荷に欠かせない資材も入手が困難になっていることや、原乳の供給も正常化していないのが大きい。特に原乳は、福島県や茨城県産から食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性物質が検出され、出荷制限の対象になっていることも、「影響は小さくありません」と話す。
メーカー側の生産態勢は改善しており、出荷量も徐々に増えていくと見られるが、すぐに震災前の状態に戻るわけではなさそうだ。