「銚子産」でもどこの沖でとれたか分からない
千葉県水産課によると、今回の「水揚げ拒否騒動」は、銚子市漁業協同組合が他県でとれた魚の取り扱いについて協議中だった際に起きたという。震災と津波で東北の太平洋沿岸の漁港が壊滅的な損害を受け、「日本でもトップクラスの水揚げ量を誇る銚子漁港に、東北各地からも水揚げ受け入れの依頼が来た」(千葉県水産課)。一方で銚子市漁協にとっては、どこの沖でとれたか分からないまますべて「銚子産」として消費者向けに出荷されることを懸念。福島第1原子力発電所の事故で、海水に放射性物質を含む汚染水が流れ出ていることも影響し、漁協関係者が「実際に漁が行われた場所を明記するなど、慎重な対応」を検討していた。
ところが対応方法が決まらないうちに、はさき漁協所属の漁船が銚子港での水揚げを求めてきたため、断らざるを得なかったと千葉県水産課では説明する。
農林水産省は6日、今回の水揚げ拒否は卸売市場法で禁じる「不当な差別的扱い」に当たるとして、市場を管轄する千葉県に対して、銚子市漁協を指導するよう要請した。
水産庁は、都道府県が実施した魚介類の放射性物質検査の結果をウェブサイトで公表している。それによると、茨城の漁港で水揚げされたもののうちコウナゴ以外は、すべて暫定規制値を下回っている。同様に銚子漁港のものも一切問題ない。とはいえ消費者の不安は消えない。前出の神栖市の主婦も、「幼い子どもがいるので、今は地元の魚を食べさせるのは正直心配です」と打ち明ける。