福島第1原子力発電所の事故による放射性物質の放出の影響で、政府は、都道府県単位で実施している農産物の出荷制限を、市町村などの地域ごとに細分化する。
出荷制限の対象となった農産物でも、放射線量の検査を実施して3回続けて規制値を下回れば、制限解除が認められる。
放射線量の検査を毎週実施
出荷制限は、原子力災害対策特別措置法に基づいて、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性物質が検出された農産物に出される。これまで福島県や茨城県、栃木県、群馬県産のホウレンソウやかき菜、原乳などが対象となっているが、これらは都道府県ごとに実施されている。そのため、同一県内でも同じ野菜で規制値を超えていないのに出荷できなかったり、出荷制限を受けていない農産物でも「風評被害」で市場や消費者から敬遠されたりする傾向がある。
このため政府は2011年4月4日、出荷制限の区域を決める際に都道府県ではなく、市町村や、県をいくつかのブロックに分けるといった対象地域の細分化を決定したと発表。出荷制限対象となった農産物については毎週放射線量の検査を実施し、3週連続で規制値を下回った場合は市町村などの単位で制限を解除できるようにする。
新たなルールにのっとり、4月4日には、千葉県香取市、同多古町のホウレンソウ、同旭市のホウレンソウやチンゲンサイなど6品目が新たに出荷制限の対象に加えられた。
なお、4月4日時点での全国の出荷制限、摂取制限の対象となっている食品は、以下の通り。
●出荷制限
福島県…ホウレンソウ、コマツナ、カキナ、あぶらな、ちぢれ菜、紅菜苔、くきたちな、カブレ菜、信夫冬菜、山東菜、べかな、非結球はくさい、チンゲンサイ、パクチョイ、タアサイ、たかな、かつおな、からしな、ミズナ、たいさい、サラダ菜、サニーレタス、シュンギク、フダンソウ、なばな、さいしん、オータムポエム、かいらん、つぼみな、みずかけな、ケール、しろな、仙台雪菜、千宝菜、のざわな、べんり菜、山形みどりな、わさびな、サンチュ、プチヴェール、ウルイ、畑ワサビ、花ワサビ、クレソン、ルッコラ、ナズナ、アイスプラント、葉ダイコン、ふきのとう、キャベツ、はくさい、結球レタス、芽キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、茎ブロッコリー、こかぶ、赤かぶ、聖護院かぶ、原乳
茨城県…ホウレンソウ、カキナ、パセリ、原乳
栃木県…ホウレンソウ、カキナ
群馬県…ホウレンソウ、カキナ
千葉県香取市…ホウレンソウ
千葉県多古町…ホウレンソウ
千葉県旭市…ホウレンソウ、チンゲンサイ、シュンギク、サンチュ、セルリー、パセリ
●摂取制限
福島県…ホウレンソウ、コマツナ、カキナ、あぶらな、ちぢれ菜、紅菜苔、くきたちな、カブレ菜、信夫冬菜、山東菜、べかな、非結球はくさい、チンゲンサイ、パクチョイ、タアサイ、たかな、かつおな、からしな、ミズナ、たいさい、サラダ菜、サニーレタス、シュンギク、フダンソウ、なばな、さいしん、オータムポエム、かいらん、つぼみな、みずかけな、ケール、しろな、仙台雪菜、千宝菜、のざわな、べんり菜、山形みどりな、わさびな、サンチュ、プチヴェール、ウルイ、畑ワサビ、花ワサビ、クレソン、ルッコラ、ナズナ、アイスプラント、葉ダイコン、ふきのとう、キャベツ、はくさい、結球レタス、芽キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、茎ブロッコリー
※出荷制限と摂取制限:出荷制限とは、食品衛生法上の暫定規制値を上回る放射性物質が検出された食品に対して、市場に出回らないようにする措置。出荷制限の食品よりも高い放射線量が検出された場合は、その食品を口にしないように求める摂取制限が出される。