日銀の直接引き受け案に批判相次ぐ
国債は、通常の国債と別勘定で管理し、特別税などで償還する「震災国債」とする案を打ち出した。問題は、これを日銀に引き受けさせることも検討するとした点。戦前、日銀引き受けで軍事費の膨張を許し、ハンパーインフレを招いた反省から、戦後、日銀引き受けは禁止されている。
日銀が直接引き受ければ市場での国債の需給悪化を招かないとメリットがあり、また、いずれ特別税で償還するから、「引受は一時的」(民主党筋)という位置付け。日銀が国債を引き受けた分、市中に出回るお金の量が増え「デフレ対策としても効果がある」(自民党議員)との見方もある。
だが、中央銀行が国債を引き受けるなど、財政危機に揺れる欧州のギリシャやアイルランド、ポルトガルなどでも例がない。このため、与謝野馨経済財政相が4月1日の閣議後会見や3月31日のテレビ番組で、「財政規律を無視した行為で、安易なことをやると繰り返してしまう。日本は国際的な信認を失う」などと批判。
野田佳彦財務相も31日、震災後の20年国債などの入札が市場で順調に消化されたことや、日銀引き受け案が報道された直後に長期金利が上昇したことを指摘し、「市場がどうみているかは一目瞭然だ」と一蹴した。もちろん、日銀も「中央銀行が国債引き受けを行わないのは世界で確立された考え方。異例の政策は通貨の信認を失墜させる」(白川方明総裁)と断固反対の構えだ。