物議かもす民主党の復興対策法案 土地所有権の制限や国債の日銀引き受け

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所得税も法人税も上がりそう

   復興の資金面では、自治体による「復興基金」設立が大きなポイントだ。これなら、予算のように議会の議決がいらず、機動的に事業を進められる。阪神大震災では「阪神・淡路大震災復興基金」を設け、兵庫県と神戸市が出資した計200億円を基本財産とし、民間から借り入れた運用財産8800億円も加えて構成。国が地方交付税で利払い負担の一定部分を肩代わりし、10年間で113事業(3700億円)を実施した。今回は、各県単位などで複数設立されるとみられ、国が全額負担する考えも打ち出した。

   物議を醸しそうなのが、こうした復興を円滑に進めるため、土地所有権の制限を検討するとしていること。津波で水没した土地の復興には、国による土地の買い上げが不可欠との判断だ。特に復旧が困難で集団で移転するほかない地域では、土地の所有権という「私権」を公権力によりある程度制限し、移転を円滑に進めたい考えだ。ただ、阪神大震災でも、国主導の復興策には反発も出た。地域によって住民の要望をいかに吸い上げて反映していくかが鍵になり、自治体との調整をうまく進めるとともに、NPOなどとも連携していく必要がありそうだ。

   もう一つの難題が財源。臨時増税や「震災国債」の発行を検討するとし、特別税は(1)所得税の一定割合を上乗せする定率増税、(2)法人特別税、(3)特別消費税――の3案を示す。消費税は被災地だけ除外するのが難しいので、まず不可能と見られる。「所得税の多い人ほど負担が増す累進制が明確な所得税の定率増税を、被災地を除外して導入するのが現実的」(エコノミスト)だろう。

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