首都圏の大気中の放射線量は2011年3月21、22日の雨の影響で増加して以来、緩やかに減り続けている。ただ、東京都の放射線量は、隣接する埼玉、千葉、神奈川各県に比べると、毎時0.02~0.03マイクロシーベルト高い値で推移している。健康への影響からすれば気にするほどの差でもないが、福島第1原子力発電所からの距離がそう違わない東京で、なぜ数値が高いのか。こんな疑問を持つ人は少なくないようだ。
文部科学省のまとめによれば、4月1日17時現在、東京都新宿区の放射線量は1時間あたり0.097マイクロシーベルト。埼玉県さいたま市では0.078となっている。
3日間とも東京の放射性物質濃度がもっとも高い
福島第1原子力発電所で爆発のあった3月15日に東京で最大0.809マイクロシーベルト、埼玉で最大1.222マイクロシーベルトを観測して以降、東京の数値が埼玉を上回ったのは21日~22日に広い地域で雨が降ってからだ。
雨が降る前の20日22時時点の放射線量は、東京で0.044、埼玉で0.059、千葉で0.031マイクロシーベルトだった。雨が降ってから、東京では23日1時に0.154、埼玉では23日2時に0.134、千葉では22日21時に0.125マイクロシーベルトと、それぞれのピークを記録。東京の増加幅がもっとも大きかった。いずれもそこから減り続けている。
気象庁によれば、21~23日の降水量の合計は、東京都で35mm、埼玉県さいたま市で38.5mm、千葉県千葉市で39mmだった。
一方、文部科学省のまとめでは、21日9時~22日9時に採取された雨やちりなど降下物から、東京で1平方メートル当たり3万2000ベクレル、埼玉で2万2000ベクレル、千葉で1万4000ベクレルの放射性ヨウ素が計測された。22日~23日は東京、埼玉、千葉の順に、3万6000、2万2000、2万2000、23~24日は1万3000、1万6000、3100ベクレル。3日間を通じて、東京の降下物中の放射性物質濃度がもっとも高かった。