一進一退の状況
一方、原子炉の上方には、使用済燃料プールがあります。これらプール内の燃料もまだ熱が出ていて継続的な冷却が必要ですが、それもできなくなり、使用済燃料プールの水も減りました。4号機では、やはり金属部分から出た水素が酸素と反応して、爆発し、壁に大きな穴が空きました。燃料の破損を防ぐため、陸上自衛隊や、警視庁などの協力で、プールへの放水などが行われ、プールの水位が下がらないようにしています。
事態は、一進一退となっていますが、電源復旧工事が本格化しようとした矢先の3月24日、3号機のタービン建屋地下の作業者が被ばくし、原子炉内の冷却水が、外部に漏洩していることがわかりました。この水からは、毎時400ミリシーベルトの高い放射線量が測定されました。
さらに27日には、2号機のタービン建屋地下にも溜り水があり、その放射線量は、1000ミリシーベルトに上っていること、また放射線管理区域外にある溝に原子炉から出た放射性物質を含む水が溜まっていることがわかりました。原子炉内にあった水の一部が外部にまで出たのではないかと思われます。さらに発電所の排水口付近でも通常の放射線量の1000倍以上の数値が観測されました。
以上が4月1日までの福島第一原子力発電所で起こったことのあらましです。3日からは、さらに4回にわたって、この事故と深い関係のある放射性物質、放射線、放射能や、飲料水・食物からの放射線と健康との関係などについて解説します。