距離20キロは「厚さ10メートルのコンクリートと同じ」
上蓑室長はまず、「原子炉内で臨界に達して、かつ圧力容器などが爆発して大量の中性子線が放出される」事態は、「ほとんど起こりえない」と考えている、とことわった。その上で、机上の計算上、そういう事態が起きたと仮定しても、20キロメートルも離れているということは、「10メートルの厚さのコンクリートに守られているのと同じこと」で、「心配しなくていい」という。
結論としては、マスコミなどが使う「中性子線は水やコンクリートで止まる」という図の妥当性はどうなのだろうか。上蓑室長は、「ほかの放射線との違いをわかり易くイメージしてもらうものとしては適切ではないでしょうか」と評価した。
その上で、「近くから多くの線量の中性子線が出た場合、厚さ2、3センチのコンクリートでも大丈夫、という印象をもし持つとすれば、それは誤解だとは知っていて欲しいですね」とも話した。
また、放射線を出す放射性物質が風などにのって飛散することと、原発から出た放射線が一定区域まで届くことの違いを理解することも必要だと指摘した。