浦安市選挙は前代未聞の事態 市の拒否で「当選者なし」の可能性

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   統一地方選挙の41道府県議選と15政令指定都市の市議選が2011年4月1日告示された(4月10日投開票)。その中で異例の展開を見せているのが千葉県議選だ。

   東日本大震災で市内の大部分が液状化するなどの被害を受けた浦安市では「有権者と候補者の安全が確保できない」などとして投開票の延期を県選管と総務省に求めていたが、両者は「法律上の責務」などとして要請を拒否。市側は、「やりたくでもできない」「できないものはできない」と、10日には投開票を行わないことを決めている。

   市側では、ライフラインの復旧を前提に、4月29日の任期切れまでには選挙を実施したい考えだが、余震が発生した場合、さらに投票が先延ばしになる可能性もある。

投票所入場整理券の発送も行われず

投票延期に理解を求める浦安市の松崎秀樹市長
投票延期に理解を求める浦安市の松崎秀樹市長

   浦安市は全面積の4分の3を埋め立て地が占めており、東北関東大震災では、市内の大部分が液状化現象の影響を受けた。具体的には、市内の全7万2000世帯のうち3万7000世帯が被災。ライフラインが大きな影響を受けており、ガスは3月30日に全面復旧したものの、現時点でも6890世帯で下水道が使用できないほか、上水道も4000世帯で断水している。主要なライフラインが全域で仮復旧するのは4月15日の見通しだ。

   選挙事務も大きな影響を受けている。浦安市の説明によると、市内に31か所ある投票所のうち、19か所が液状化現象などの影響で投票を行うことが困難な状況だ。また、市役所では職員が災害復旧にあたっており、投開票の業務に人出をさくことが困難だという。

   こうしたことから、浦安市では、同市を統一地方選延期特例法の「選挙を適正に行うことが困難と認められる市町村」に指定し、投票の延期を認めるように総務大臣には述べ5回、千葉県には6回にわたって要請を重ねてきた。だが、指定を受けられないまま告示日を迎えてしまった。

   本来ならば、4月2日から期日前投票が始まるはずだが、現時点でポスターの掲示場も設置されておらず、3月28日に予定していた投票所入場整理券の発送も行われていない。

   松崎秀樹市長は、4月1日午後、市内で記者会見を開き、

「(選挙を)したくでもできる状況ではない。春休みということで、市民の多くが市外に出ている。中には、住民の半分が市外に出ている地域もある」

と、4月10日の投票を行わないことへの理解を求めた。

   その理由として、

「投票所1か所あたり職員、立会人が10人近く必要で、この10人を約12時間滞在させることになる。それは不可能だと判断して、(体育館などの)使用許可を出さなかった」
「災害対策本部は縮小できる状況にない。余震で被害が拡大し、2日前には道路が陥没し、護岸が川の方にせり出している」

といった事柄を挙げ、被災後の事態が改善を見せていないことを強調。「4月10日の投開票は可能」と判断した県選管についても、

「県の選管は(市内の)視察をできていないとみている。視察をしたというのであれば、なぜ災害対策本部に立ち寄らないのか」

と批判を展開した。

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