東北関東大震災の膨大ながれきの撤去・処理が自治体の肩に重くのしかかっている。がれきの量は1995年の阪神大震災を大きく上回るのが確実で、長期戦は必至。国の支援のあり方も問われる。
政府は2011年3月25日、がれき処理に関する指針を関係自治体に通知した。建物は、がれき化していなくても本来の敷地から流失していれば撤去可能。敷地内に残っていても倒壊の危険がある場合なども同様とした。自動車や船舶は保管場所に移動して可能な限り所有者に連絡し、引き渡す。
大量の車を保管できるスペースない
位牌やアルバムなど「所有者個人にとって価値がある」と認めるものについては、撤去への抵抗が強いため、保管場所を設けて遺失物法に沿って対応し、一定期間保管した上で廃棄するとした。
だが、現場では指針1本では解決しない問題を抱える。岩手県釜石市などでは、自治体の要請を受けて、主に自衛隊が道路通行できるよう流された家屋などの撤去を続けている。ただ、通常の土砂災害なら重機で一気に作業を進めるが、がれきの中に行方不明者がいる可能性があるため、木材や畳をめくりながらの手作業で、「通常の2倍の作業時間がかかる」(釜石市)という。
散乱する車の処理が第1の難題だ。所有者の同意を得ようと電話しても、避難している人、行方不明者なども多く、「ほとんど連絡がつかない」(自治体関係者)。保管場所へ搬送するにも、大量の車を保管できるスペース探しのめどが立たないところが多い。
打ち上げられたり、洋上をさまよう船舶の扱いも頭が痛い。海上保安庁によると、26日までに宮城県沿岸部で漂流中の船を245隻回収したが、所有者に返したのは13隻にとどまると説明。船舶も仮置き場に移動し、所有者が引き渡しを求めなければ処分できるとしたが、仮置き場を確保し、そこまで運ぶのは、車以上に手間がかかる。