2011年3月28日から3日連続のストップ安で大暴落した東京電力株を、一気に「買い」に出た投資家が現れた。東電株は3月30日の終値で466円まで下落。同日の大引け間際に、ひとりで約4000万株、186億円をツッ込んだ。
それもあってか、3月31日の東電株は朝から買い注文が相次いで、一時は前日比58円高の524円に急騰。その後も500円前後で推移した。ところが、後場には逆に年初来安値の461円にまで落ち込むなど、大きく乱高下。終値は前日比と変わらず466円で引けた。
「ヘッジファンド」説も
なにしろ200億円近い金額が、暴落した東電株を「買い」に入ったのだから、ネット上の投資サイトを見ていた個人投資家や、市場関係者らのあいだでは30日夜から「いったい、誰が買ったのか」と、話題となった。
東電株の発行済み株式は約16億株。買った約4000万株は2.5%を占めるので、年度末にあたる3月31日に保有していれば、大株主にその名を連ねることがあるかもしれない。
とはいえ、国際アナリストの枝川二郎氏は「おそらく買った投資家は、短期売買を狙った投機筋でしょうから、一気に売らないまでも早めに手放してしまうでしょうね」と話す。
暴落のきっかけは、未曾有の大震災による電力不足と福島原発事故の補償問題などを背景にした「国有化」説をめぐる政府関係者の発言やマスコミ報道にある。
震災前に2000円を超えていた東電株は、わずか2週間でみるみるうちに下落。もともと優良株として注目度が高かったこともあり、激しい株価の動きに仕手筋や投機筋が目をつけないわけがない。
前出の枝川氏は「東電株は、いまや世界中の投機筋が注目しているはずです。30日は円安に動いていたので外資系ファンドは(日本市場に)投資しやすい環境でもありました。今回の投資は金額も大きいですし、ヘッジファンドでしょう」と推測する。