ツイッターを積極的に活用していることで知られるソフトバンクの孫正義社長のツイートに、異変が起きている。これまでは、NHKの大河ドラマ「龍馬伝」の感想をつづったり、通信業界のあり方に意見を述べたりするツイートが大半だったが、東北関東大震災の発生後は様子が一変。かなり強い調子で、福島第1原子力発電所から半径50キロメートル以内の住民を避難させるように求め続けている。勢いあまって「日本医師会が50km以内には立ち入らないようにと勧告」という誤情報を拡散し謝罪する場面もあるなど、危うさを指摘する声もあがっている。
「too little, too late これが日本の一般的ミスの共通点」
孫社長のツイッターのアカウントは、現時点では98万人以上のフォロワー(読者)を抱えており、著名なツイッターの利用者の中でも、影響力は大きい方だ。
東北関東大震災後の数日間は、被災した自社の通信設備の復旧状況や節電の取り組みについてのツイートが続いていたが、方向性が変わったのが3月16日の
「現在、日本は歴史上最大の危機に瀕している。東電や政府の方々は、対応が後手に廻らない様にお願いしたい。 too little, too late これが日本の一般的ミスの共通点だ。 今回は、場合によっては千万人単位の人命がかかっている」
というツイートだ。
この後、孫社長は数万人規模の集団疎開構想を提唱するようになった。その一環として、
「作業員や勇敢な消防隊などの努力には、胸を打たれます。綱渡りの状況。危険なその状況下で50km以内に住民を残す事は、人間をカナリア扱いするに等しい行為」
などとして福島第1原発の50キロ圏内の住民を避難させるように求めている。
勇み足があったのは、3月29日。「日本医師会が50km以内には立ち入らないようにと勧告。医師さえも入れない場所に住民を残すのは間違っています」という書き込みに
「同意!」
と返信。だが、同日中に日本医師会は、ウェブサイト上に「日本医師会が、このような勧告を行った事実はありません。これまで、さまざまな機関から発出されている情報が錯綜しているなかで誤解を生じた可能性は否定できません」とのコメントを発表した。孫社長は、このコメントが掲載されていることを指摘されると、
「被災地への医師会の件は誤報との事。陳謝します」
と、謝罪ツイートを書き込んだ。