今後の日本の雇用を考える教訓になる?
山梨県の石和温泉では16人の中国人研修生を受け入れていたが、7月までの研修期間を切り上げ全員が帰国することになった。中国側からの帰国の要望があったためだ。石和温泉旅館協同組合によれば、研修生といえども最前線で働く貴重な人材だった。大震災以降、温泉地は客足が激減、今は大丈夫だが、客足が戻ったときに人手不足になる可能性も出ている、と話す。
自動車部品業界でも多くの中国人が働いていたが、帰国の途についた人は多い。日本自動車部品協会によれば、部品製造工場は今回災害の被害が大きかった岩手、宮城、福島、茨城に集中していて工場の稼働がストップしている。そのため、中国人労働者が抜けた影響はわからないが、工場の稼働に合わせ中国から戻ってもらうか、国内で新たな労働力を探すしかない、と打ち明ける。
中国の労働者事情に詳しい移民政策研究所の坂中英徳所長によれば、日本の企業は中国人なら集めやすいと安易に採用してきたが、そうした労働力に頼り切ってしまうと今回のようなことが起こるのは当然だ、と警告する。
「日本にもたくさん労働力がありその活用を図ることや、中国人も不安定なアルバイトではなく正社員として採用することを考えてほしい。とにかく、今回は今後の雇用を考えるいい機会になったのではないか」