福島第1原発事故の復旧作業について、「手がけているのは大手ゼネコンでは大成建設だけ」と産経新聞が報じた。大成建設は、同原発の建設やメンテナンスにはかかわっていない。同社社員30人と協力会社100人を現地に派遣しているという。
産経新聞が2011年3月29日夕に配信した記事によると、東京電力からの要請を受け、人員派遣について「大成建設の山内隆司社長が決めた」。作業員らへの参加の意思を確認した上で派遣しているという。「大手ゼネコンで、福島第1原発の復旧作業を手がけているのは同社だけ」としている。
大成、130人を派遣
大成側関係者に確認してみると、事故発生当初の早い段階で社員派遣が決定されたそうだ。130人が常時第1原発内で作業しているわけではなく、約20キロ離れた拠点から交代しながら同原発敷地内で、構内整地や仮設ポンプ接続などの作業にあたっているという。
また、中堅ゼネコン数社も一時復旧作業に従事していたが「今は引き揚げた」とも説明した。この関係者も、産経報道のように「大手では大成建設だけ」が復旧作業にあたっているという認識だった。
事態の収束に少しでも役立つことができれば、と会社として決断した模様だ。同社は福島第1原発の建設やメンテナンスには関与していない。もちろん、東電と無関係というわけではなく、東電の火力発電施設にかかわるなどしている。
産経新聞の報道を受け、インターネットの2ちゃんねるなどでは、「ほかの大手ゼネコンは何してるんだ」といった書き込みがみられた。
鹿島側関係者は「社員、原発敷地内」
鹿島建設は、福島第1原発の1号機から6号機までの基礎部分と建屋の施工を担当した。鹿島側関係者によると、鹿島建設も社員10人と協力会社作業員140人を第1原発から南側へ離れた拠点に派遣しており、3月22日に拠点入りしたという。同原発敷地内にも「社員が入っている」という。
「大成建設のみ」の産経報道には不満をもっている様子もうかがえた。鹿島建設は、「東電の要請」に従って「資・機材の物流一式」を担当しているそうだ。ほかの大手ゼネコンも分担して作業にかかわっているとも話した。
詳細ははっきりしないが、大手ゼネコン同士の「分担」のあり方や、「復旧作業」が原発敷地の内か外かの違い、敷地内作業への参加人数の違いなどをめぐり、認識のずれが出ている可能性もある。