「株主や債権者の負担は回避される可能性が高い」
東電の国有化については枝野幸男官房長官が3月29日のうちにこれを否定したが、政府の支援、つまり公的資金の注入は免れないと見る向きは多い。
シティグループ証券は、東電「国有化」の4つのシナリオを示している。
シナリオ1 債務超過を前提とした一時国有化(1998年の旧日本長期信用銀行型)
シナリオ2 資産超過を前提とした実質国有化(2003年のりそな銀行型)
シナリオ3 法的整理後の一時国有化(2010年の日本航空型)
シナリオ4 ゴーイングコンサーン(会社が将来にわたって事業を継続していくことを前提に存続)
シナリオ1と3の場合は、株主責任が問われるので保有している東電株の価値がなくなる。
東電株の持ち株比率は、政府が3.11%、銀行や生命保険などが34.13%、外国人投資家17.37%。個人株主は37.87%を占めている。震災前まで、東電株は超優良銘柄として多くの投資信託に組み込まれていたし、個人投資家も比較的「安心して」投資していた銘柄だ。しかも、高齢者が保有しているケースが少なくない。東電株の価値がゼロになる影響は、かなり大きい。
シティグループ証券は「東電の公共性や公益性、そして代替の可能性が限定されることを踏まえれば、株主や債権者の負担は回避される可能性が高い。いまは『国有化』という言葉に過剰反応している」という。