東北関東大震災の被災者の受け入れが自治体などで進む中、ホームステイ、別荘貸し出しといった、個人で被災者を受け入れる活動も全国で広まっている。
帰る場所を失った多くの人のために仮設住宅が建設されているが、希望者が多いため入居はなかなか進まない。避難所での生活にストレスを感じ、一般家庭でのゆったりとした時間を求めるも人も多い。
自治体が子どものホームステイを斡旋
そうした要望に対応する形で、神奈川県は2011年3月19日から、被災した小中高生のホームステイを受け入れるボランティア家庭を募集している。1学期以上受け入れることが条件で、寝具や日用品、生活費や食費などの費用は受け入れ先が負担する。
県は29日、受け入れ先の募集に1000世帯を超える家庭から応募があったと発表した。ボランティア家庭の情報は、個人情報を伏せたうえで被災地の自治体などに提供され、入居者の募集が行われる。
兵庫県小野市では、21日から被災した小中学生を受け入れるホストファミリーを募集中だ。これまで50世帯から申し出があり、同市は3月31日、ホームステイ受け入れを調整するため、職員2人を被災地へ派遣する予定という。
大阪、奈良、福井、香川、佐賀などでも同様のボランティア募集が始まっている。いずれも小中学生の受け入れが中心だが、神奈川県三浦市のように、家族単位での受け入れを募集している自治体もある。また、受け入れの期間や条件はそれぞれ異なるため、各自治体で確認する必要がある。
東京都のNPO法人「アースデイマネー・アソシエーション」は自治体よりひと足早い3月15日から、仮設住宅などが見つかるまでの1~3か月の間受け入れる「アットホームな環境を提供できる家庭」を募集している。3月30日現在、提供登録者数は首都圏を中心に3871世帯に上り、2世帯での入居が決定、ほかにも交渉が進んでいる。
栃木県那須町で貸し出しの申し出が相次ぐ
栃木県那須町では、別荘や自宅を避難所として貸し出したいとの申し出が相次いでいる。同町の担当者によれば、申し出は28日現在で106件(うち別荘は70件)。これまでに25件の入居があった。
那須町には町民を含め多くの被災者が集まっている。提供情報は町内に2か所ある避難所で掲示され、被災者は提供者と直接連絡をとって交渉するという。そのほか全国の別荘地でも同様の申し出があるが、被災者へ情報を提供できるかが課題となっている。
被災者支援マッチングサイトの「震災ホームステイ」では、空き家や空き部屋の無償貸し出しを募集している。提供される家や部屋の詳細はサイトに掲載され、入居希望者はこれを見て応募する。19日から開始し、25日までに初のマッチングが成立した。30日現在、提供希望は380件、入居希望は18件に上っている。
ホームステイなど、被災者の受け入れ希望者が多く集まる中、実際の入居はどの程度進むのか。宮城県の村井嘉浩知事は28日、仮設住宅がすべて完成するまで1年以上かかるとしたうえで、避難生活をしている被災者に対し、県内外への2次避難を呼び掛けた。しかし、地元を離れることや子どもの教育環境の変化などを不安に思う人も多い。