夏の計画停電への対応にも協力して取り組む予定
トヨタの国内主力工場と部品メーカーは愛知県に多く集結しているから、少なくとも一部再開は震災発生後早期に可能だったと見られるが、トヨタが2011年3月26日まで一貫して全面停止し続けたのには、このような背景があった。
その後、トヨタは世界的に需要の高いハイブリッド車のプリウスと、レクサスにしぼって、3月28日から愛知県堤工場(プリウス)とトヨタ自動車九州・宮田工場(レクサス)の稼働を開始したが、部品の調達状況に応じて再休止する可能性もあるとしている。
「再開を急がなかった」事実をあるトヨタ幹部は認めた上で、「トヨタが生産を止めているから、安心して部品メーカーを含め各社が止められた」と振り返った。
自動車業界は次に、夏に向けた計画停電への対応にも協力して取り組もうとしている。各社の工場を曜日ごとに輪番で動かすことで、計画停電を回避しようとの構想が浮上している。自動車業界では工場によっては3時間の停電でも、前後の準備や保全に時間がかかり、計9時間の生産停止を招く可能性がある。関東各地で連日「9時間停止」の事態が起きれば、減産などの影響は計り知れない。
今は高額消費の自粛ムードで新車販売が落ち込むのは避けられないが、時を経て「復興需要」も出てくはずで、これに向けて生産停滞を避けるためにも、自動車業界が結束して取り組む姿勢をアピールし、計画停電の長期化・拡大を回避したい考えだ。