東北関東大震災の余波が、お花見シーズンにも及んでいる。各種イベントが自粛されるなか、東京都が管理している公園で、花見宴会の自粛を求める看板が掲示され、波紋を呼んでいる。この対応には、自治体の首長の中からも「被災者を応援するためにも元気を出さなければ」と疑問を呈する声があがる一方、被災者への「想像力」を求める声もある。
気象庁は2011年3月28日、東京でサクラ(ソメイヨシノ)が開花したと発表。例年だと開花宣言から1週間程度で満開になる。首都園では、ここ1~2週間が見頃になりそうだ。
東京都が管理している井の頭公園(武蔵野市)では3月25日頃、以下のような内容が書かれた看板が立てられ、公園の公式ウェブサイトにも同様の文書が掲載されている。
「今年も桜の開花時期となりましたが、東北地方太平洋沖地震の発生に伴い、当公園内における宴会の実施をご遠慮いただきますようにお願いいたします。飲食については、できるだけ園内または近隣の飲食店をご利用いただきますようお願いいたします」
同じく都が管理する上野公園(台東区)でも、同様の方針を打ち出している。
「過度の自粛は消費を冷やすだけ」
この方針については、疑問の声もあがっており、ツイッター上では、猪瀬直樹副知事に対して
「ステレオタイプの自粛ムードはうんざり!経済をまわす事が復興への最高の近道なのを解っててやるなんてバカ」
という意見をぶつける利用者もいる。猪瀬副知事は、これに返信する形で
「花見はすればよい。酒も飲めばよい。過度の自粛は消費を冷やすだけだ」
と原則論を述べながらも、
「ただ被災者は水も食事にも苦労している。身内を失っている。東京の火葬場で運ばれてきた遺体も焼いている。その辺の想像力があって、花見をして、酒を飲んで、ということだろうね」
とつづっており、花見自粛に理解を求めているともとれる。