長崎県のハウステンボスや宮崎県のシーガイア、大分県湯布院町など、九州の観光スポットから外国人観光客の姿が消えている。2011年3月11日に発生した東北関東大震災とその後の福島第一原子力発電所の事故の影響で、宿泊などのキャンセルが相次いでいるのだ。
海外メディアの日本全体が危険であるかのような報道のせいで、原発事故の起こっている福島と九州は1500キロメートルも離れているにもかかわらず、九州の観光産業は大打撃を受けている。
再建がようやく軌道に乗ってきたところに…
ハウステンボスは震災直後から3月24日までに、施設内のホテルで約1万1000人分の宿泊キャンセルが続いた。その6割が中国や韓国、台湾などからの外国人観光客だった。
沢田秀雄社長は決算発表の席で、「地震以降、外国人観光客はほぼゼロに近い」と述べた。当面は「来場いただいたお客様への満足度を高めると同時に、近隣の方にも足を運んでもらえるようアピールしたい」(広報室)と話している。
ハウステンボスが3月25日に発表した10年10~12月期決算によると、前年同期に赤字だった営業損益と経常損益がともに黒字に転換。入場者数は5割超、売上高も約3割増やすなど、再建計画がようやく軌道に乗ってきたようにみえた。
宿泊客も前年同期比17.9%増の6万5200人。力を入れていたのが中国や韓国などから観光客の招致だった。2011年夏には上海と長崎を結ぶ「上海航路」が就航予定だったが、沢田社長は「中国やアジアからの観光客の動向しだいでは延期、あるいはチャーター便に切り替える可能性もある」という。
宮崎県のシーガイアを運営するフェニックス・リゾートも、韓国や台湾などの観光客からのキャンセルが「多少ですがありました」と話す。宮崎県は霧島山(新燃岳)の噴火や鳥インフルエンザの影響と、「逆風」が重なって厳しい経営環境が続いている。