東電社員「炎上覚悟」でブログ執筆 計画停電で「被害者だと考えるのやめて」

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   東京電力の社員と称する人物のブログがネットで話題を呼んだ。重大な事態に陥っている福島第1原子力発電所について、社員の立場でつづったものだ。

   原発事故で迷惑をかけた人々に謝罪する一方、原子力発電の必要性を説き、計画停電を実施している地域の利用者に向けて「被災した人よりはるかに贅沢な生活を送れている」などと書いた。これが読み手を刺激したのか、ネット上で非難が巻き起こり、ブログは閉鎖してしまった。

原発事故は「耐震強化を上回る大規模地震」のせい

「このブログが炎上すること覚悟の上で、伝えたいこと、伝えるべきことを載せたいと思います」

   自ら「東京電力の社員」と名乗るこの人物が、ブログを更新したのは2011年3月19日。掲載されている写真や知人から寄せられたコメントを見る限り、同社が運営している運動部に属する男性のようだ。東北関東大震災が発生した後、「いつかは書かなくてはと思ってはいた」と、思いを吐き出した。

   被災者を見舞い、福島第1の事故が深刻化していることへのおわびの気持ちを表した後、今回の原発事故は「耐震強化を上回る大規模地震だった」ために起きたもので、「決して、甘く想定していたわけではありません」と説明した。そのうえで、1号機から3号機で爆発が起きた経緯が正確に伝えられていないと、悔しさをにじませる。

   原発の必要性も訴える。東京電力の資料を見ると、同社管内で供給される電力のうち、2008年度は約23%が原子力発電で賄われたものだ。また電気事業連合会によると、日本の総発電電力量に占める原子力発電の割合はフランス、韓国に次ぐ高さだ。2008年度の国内の電源別発電電力量構成比は、石炭26.8%、天然ガス26.3%に対して原子力は24%とほぼ同じ割合となっている。ブログの執筆者も類似の指摘をしており、「石油や石炭はいつか枯渇する」「地球温暖化ガス削減のため、原子力発電は大きな力となる」との主張だ。

   マスコミの報道姿勢にも疑問を向け、「原子力発電および放射線に対する確かな知識がないままに報道されている現実には本当に悔しい気持ちでいっぱい」「福島県に対する風評被害をもたらしているのは、政府やマスコミではないでしょうか」と怒りをぶつけた。

「福島県のみなさんがあってこそ」

   ブログの筆者は、原発に頼らざるを得ない国内の電力事情や、東電社員が全員「死ぬ気で」原発の事故対応に当たっていることに理解を求めようと必死な様子だが、そのためか表現のトーンが比較的強い。「お願い」する相手は、原発のある福島県民だけでなく、計画停電を余儀なくされている東京電力管内の電気の利用者にも向けられた。

   「何不自由なく電気を使えていたのは、福島県のみなさんがあってこそ」「福島県で被災に合われた方よりはるかに贅沢な生活を遅れていることを今一度再認識してください」などと書いている。さらに、東電が非難されるのは構わないとしたうえで、

「不自由だとか自分たちが被害者だといった考えはやめてください」

と強調したのだ。

   ブログの内容に対して、ネット上では反発の声が多く「いちいち言い訳すんな」「なんで上から目線なんだよ」など手厳しい。一方で「こんな想像を超える災害が来て対応が後手に回らない方がおかしい」と同情的な意見もあるが、圧倒的に少数派だ。

   「炎上覚悟」で思いをぶちまけた筆者だったが、その後何か事情があったのか、3月28日時点でブログは閉鎖されている。

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