人材派遣業は規制が強化されるなど、厳しい経営環境におかれている。そうした中で、大阪ガスグループの大阪ガスビジネスクリエイト(OGBC)はIHIグループの技術系人材派遣会社「ホホエミー」の株式を取得して子会社化し、2011年3月1日から大阪ガスエクセレントエージェンシー、通称「OGXA」(オグザ)として新たにスタートした。
OGBCの河瀬隆社長に、人材派遣業の現状と新会社の舵取りについて聞いた。
規制強化が、働き方自体を狭めてしまっている
―― 「人材派遣業」の現状について、どのように見ていますか。
河瀬 人材派遣業は一時、「派遣切り」が社会問題化したこともあって、製造業への派遣や登録派遣へのあり方が見直され、規制が強化されようとしています。しかし女性をはじめ、さまざまな事情でフルタイムで働くことができなかったり、通える職場が限定されたりする人が「派遣」という働き方で職を得ていることは現実です。企業側の派遣に対するニーズも少なくありません。
正社員への道を拓く紹介派遣への対応も進んでいます。雇用の点で、派遣業はいまやその一翼を担っています。かつて、偽装請負が問題化したときも、請負という働き方そのものが非難されて規制が強化されました。そういった規制強化が、働き方自体を狭めてしまっているように思います。人材派遣業は規制に翻弄されています。
―― 関西における現状はいかがでしょう。
河瀬 厳しい状況です。規制強化への対応もありますが、企業の東京への一極集中の影響もあります。人材派遣業のニーズの多くは東京です。つい最近も大阪を地盤とする製薬会社が神奈川県に研究所を移すなど、進んでいます。関西エリアの雇用機会そのものが減っていくことになるので痛手です。
―― 技術系の人材は一時人手不足が指摘されていました。そこは解消されたのでしょうか。技術系人材派遣の現状はいかがでしょう。
河瀬 一般的に、技術系人材の登録が少ないことは確かです。ただ、それは技術系の人が派遣という働き方よりも正社員を目指すといった事情があります。半面、企業の技術系人材へのニーズは高いものがありますから、市場は有望といえます。
技術系の人には紹介派遣やアウトソーシング(請負)という働き方も視野に入れた就職活動があることを知っていただくことや、研修による育成型の人材派遣を考えていくことも必要だと考えています。
―― 具体的には、どのような施策を考えているのでしょうか。
河瀬 まずは東京の強化があります。傘下に置いたオグザは東京の売上げが4分の1を占めています。強みの技術系人材を生かして、ここを伸ばしていきます。
一方、関西エリアでは、大阪ガスやOGBCの知名度を生かしてシェアを高めていきたい。すでに事務スタッフを派遣している会社から数社、技術系人材の要請があります。新たなマーケットをつくるという気概をもって臨んでいきたいと思っています。