テレビ事業をどう立て直すか、につきる
特に評価されているのが、ゲーム事業の立て直し。一時はソニー社長候補にも挙がった久多良木健氏から06年、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の社長を引き継ぎ、コスト削減を徹底することなどで、赤字続きだったゲーム事業を2010年度に黒字化する道筋をつけた。現在は音楽配信事業やパソコン、読書専用端末「リーダー」なども担当している。
4月1日の組織再編に伴い、平井氏は主力ながら赤字続きのテレビ事業も含めた消費者向け商品全般を指揮。ストリンガー氏の掲げる「ソフトとハードの融合」を実現しつつ、最大の課題であるテレビの立て直しに挑む。ストリンガー氏は平井氏に期待することついて「一にも二にも実績」と強調。テレビについては平井氏のもとで「ネットワークにつながる機器として強化し、黒字転換し、利益をあげる。ゲームの黒字化を果たした平井氏ならできる」と発破をかけた。
ストリンガー氏は自身について、社外の著名人が多い取締役会から「あと数年、今の立場にいるよう要請を受けた」と語り、当面は続投する意向を示した。関係者によると、2011年にも社長交代の可能性があったが「平井氏はまだ若く社内を掌握できていない」として、取締役会の一部から譲る時期を遅らせてはとの提案があったという。ストリンガー氏がこれが受け入れた模様だ。当面の「テスト期間中」にテレビ事業をどう立て直すか、平井氏の手腕に注目が集まる。