自動車、電機は生産再開めど立たず モノ作り大国日本の根幹が揺らぐ

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海外への生産移転などに拍車がかかる

   モーター部品の不足で電車の運行も支障を来し始めた。カーボンブラシという部品の国内シェア約5割を持つ日立化成の茨城県日立市の工場が被災でストップ、福島県いわき市の子会社工場も原発の避難地域にあって操業できないためで、JR西日本は「保守用部品を調達でない」として、4月2日から昼間の一部在来線の運転本数を減らす。

   こうした生産の広範な停滞は経済活動の停滞を長引かせる恐れがある。内閣府は、大地震による国内総生産(GDP)への影響を試算。民間企業が保有する設備のうち9兆~16兆円が損害を受けたと推定し、2011年度の実質GDPを1兆2500億~2兆7500億円(0.2~0.5%)程度押し下げるとみている。ただ、これには原発事故、計画停電、消費者マインドの悪化などは織り込んでいないので、「さらに落ち込むのと見るべきだ」(民間シンクタンク)という見方が一般的。

   また、「国内拠点の操業停止が続けば海外への生産移転などを検討する」(大手電機メーカー)との声もあり、空洞化に拍車がかかれば、日本経済への打撃はさらに増す。

   自動車をはじめとした完成品メーカーの部品調達体制のもろさは、部品在庫を極小にするカンバン方式と、発注先を絞ってコストを極力引き下げようとした結果でもある。部品調達先をある程度多様化するなど、今回のような大災害にも影響を最小限にとどめる新たな生産体制の構築が、日本経済復活の重要な鍵を握っている。

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