「無利子国債」「復興国債」などが浮上
岡田克也民主党幹事長は3月22日の会見で「4、5月にかけて1次補正を考えている。当面の対策に重点を置き、方向性が出てくれば本格的な補正を組む」と語った。2010、11年度予備費は水道復旧、食料配布など緊急措置に活用、1次補正は瓦礫の撤去、道路整備や仮説住宅の建設などに充て、街の再興など本格的な復興は2次補正で、というのが大まかな方向だ。
問題の財源。阪神大震災当時に206兆円だった国債残高は、2010年度末で3倍以上の642兆円まで膨張する見通し。復興財源を借金に頼れば、「震災による経済力の低下と相まって、日本の財政への不安が一気に高まりかねない」(財務省幹部)との懸念がある。
そこで検討されているのがマニフェストの目玉の見直しを含む2011年度予算の大幅な組み換え。子ども手当て(2兆9000億円)、高速道路無料化(1200億円)のほか、高速道路の割引(総額2兆円)では、新年度からの平日2000円の見送りだけでなく休日1000円の現行の割引廃止も俎上に上っている。
だが、予備費を含め、これらをすべて合わせても6兆円余りにしかならず、10兆円には4兆円近く不足する計算。そこで、基礎年金の国庫補助引き上げのため「埋蔵金」を原資に計上した2兆5000億円の流用のほか、「無利子国債」(利子がつかない代わりに相続時に相続税を免除)の発行論が浮上、さらに、「復興国債」を日銀に引き受けさせるという「禁じ手」も一部に取り沙汰され、産経新聞は「復興国債発行、日銀引き受け、政府方針」の見出しで「方針を固めた」と報じている。
ただ、さすがに、財政規律の観点から「筋が悪すぎる」(金融筋)と、消極論が強い。逆に、谷垣禎一・自民党総裁が「復興目的税」の時限増税を提案、一方で菅直人首相らは経済への打撃を懸念しているといわれる。復興財源をめぐる議論はまだまだスンナリ決着しそうもない。