福島原発での消防活動について、東京都の猪瀬直樹副知事がブログで、「7時間放水を執拗に要求された」などと政府側の対応を批判している。経産省の対策本部は、「放水時間は、現場の状況を見て議論して決めた」と反論している。
東京消防庁のハイパーレスキュー隊員が、決死の放水作業後に涙の会見をしたのは記憶に新しい。
猪瀬氏「現場を知らない」と批判
いったん都内に戻り消防学校に集まった彼らに対し、猪瀬直樹副知事は2011年3月21日、石原慎太郎知事とともに慰労に訪れた。ブログは、そのときに同隊幹部から現場の状況について報告を受けたものを同日中にまとめたものだ。
猪瀬氏は、政府側の対応について、ブログで問題点をいくつか挙げている。
それによると、当初は、4時間の放水予定で、必要があれば再度放水することになっていた。それが、「連続して7時間放水し続けるよう執拗に要求された」というのだ。このため、2台ある放水塔車のうち1台がエンジンの焼き付きで使用できなくなった。
また、海から放水塔車まで給水ホースを800メートルの最短距離に設定していたが、「遠回りにするように執拗に要求された」。さらに、石原知事が菅直人首相に抗議して話題になったが、「俺たちの指示に従えないのなら、お前らやめさせてやる」と処分をちらつかせたとしている。
こうした要求や指示は、原発から約20キロも離れ、無線状態も悪い前線指揮所からあったといい、現場を知らないのに、レスキュー隊に方針変更を度々要求してきたと批判している。また、「政府・東電の指揮命令系統が明確でないことがわかった」とも言い、猪瀬氏は、「職員の命を預かる隊長としては、現場をわかっていない人達に職員の命を預けるわけにはいかない」とその気持ちを代弁している。
これに対し、経産省の原子力災害対策本部では、取材に対し、問題とされたそれぞれの点に反論した。